◆MASATAKEのニュージーランド旅行記◆

『また行くの?』という声にもめげずに・・・。なんと1年間に3回も行ってしまったニュージーランド!その旅行記をシリーズにしようと思いたちまとめてみました!!
テーマは「目指すはナンバーワンNZワインショップ!」。どうぞお楽しみに!
第1回目の今回のご報告は、2003年11月の旅行記です。

今回の主な目的は『Air NZ ワインアワード』の試飲会に参加すること、Kusuda Winesの楠田さんとセントラル・オタゴのワイナリーを訪問すること(特に自社輸入しているValliやフェルトンロードなどオタゴを代表するワイナリー)、マーティンボロ、シューベルト、ストーンカッターの訪問、北島の優良ワイナリーであるクメ・リヴァーの訪問、命の洗濯???などなど盛りだくさんの9日間です。

2003年11月3日成田を発って、シドニー経由クライストチャーチで楠田さんと待ち合わせ。一人でNZに行くのもこれで3回目なのでだいぶ余裕が出てきましたが、今回、ちょっとした連絡の手違いがあって、なかなか楠田さんと会うことができなくて、大汗をかきました!(汗)

何とかめぐり会うことができて、NZの名観光地クィーンズタウンへ向かいました。トランジットを含め成田を発ってから18時間近くかけて到着しました。(結構ハード・・・)
いや〜結構遠いですね、で・でも時差が4時間ですので着いてからは時差ボケも無く、比較的楽です。

クライストチャーチからはプロペラ機でクィーンズタウンまでのフライトです。少し心細かったのですが・・・。『大丈夫!プロペラは2つ付いているから』という楠田氏の言葉を思い出して・・・。
上がってしまえばそんなことも考えず、NZアルプスを見ながらの快適なフライトでした。
いよいよクィーンズタウンに到着!!
飛行場の周りを山が取り囲んでいるようです。上高地に飛行場があるような印象です。 

初日は空港の近くのモーテルで宿泊、東京を出る時にワイン会のご案内(楠田ピノを飲む会)をメールでお送りしたのですが、モーテルでメールを開いてみたら、20名募集のところ、なんと80名のご応募を頂きパソコンでなく私がフリーズしてしまいました。
どうしよう?!と考えていたら、横にいた楠田氏の『2回やったら』のひと言で、東京にメールして2回目を決定!地球は狭くなってきました。

2日目はワイナリー訪問です。
北半球とは季節が逆ですから、NZは春です。さわやかで清々しい朝です。
まず最初にフェルトンロードへ向かいました。
フェルルトンロードはNZワインで最もレアな物の1つのブロックシリーズで特に有名です。クィーンズタウンの有名なワインショップでも僅か20本ほどしか入荷しないそうです。
 
そのブロック3の葡萄が採れる区画です。
まだ芽が出たばかりです。
ワインメーカーのブレア氏と畑で話していたら、遠くから一人の長髪の男性が現れまして、その人こそフェルトンロードのオーナーだったのです。
よく畑を見回るために散歩?しているそうです。根っからワインが好きというのがよく判りますね!その後のバレルティスティングもお付き合いしていただきました。

オーナーと果汁に負担をかけないように重力のみでマストを移動させるように設計された設備です。
 
樽からの2003年ブロック3の色です。

楠田氏とブレア氏(日・NZワインメーカーと一緒にバレルテースティング!)、それもブロック3と5の比較試飲などなど・・・。
ブロック5の方が大きくミネラルも強く感じました。またクローン別の試飲もさせていただき、とても勉強になりました。クローン5の甘さ、濃さがとても印象に強く残りました。
  
ワイナリー、セラー・ドアのテラスで・・・ ワイナリーの入り口から事務所を望む

好青年のようで冷静なブレア氏と情熱的なオーナーの組み合わせが面白いフェルトンロードでした。また、ピノ・ノアールが一押しのフェルトンロードですが、リースリングも素晴らしい!(NZで一番かも・・・)

2番目に訪問したのはお隣のマウント・ディフィカルティです。フェルトンロードのすぐ隣なのにワイナリーや畑の土の色などの雰囲気がまるで違います。ワイナリーの一番上にあるレストランからの眺望です。


ワイナリーの雰囲気が違うようにワインメーカーのマットさんもフェルトンロードのワインメーカーのブレア氏と全然タイプが違うのがとても面白い!
  
ボトルのグリーンの印象どおりのフェルトンロードですが、マウント・ディフィカルティは荒涼とした山肌と畑、ワインメーカーのマット氏もとてもラフな格好と明るい感じでした。
本当のマウント・ディフィカルティをバックにして記念撮影。

午後はクォーツ・リーフに伺いました。
ガレージのようなワイナリー。
日本には輸入されていませんが、スパークリングワインを造っています。
なんとルミアージュは手で??バレルからの試飲、マロラクティック醗酵の途中が多く難しい試飲です。そしてワインメーカーのルディさん。
畑は近くに無いので見に行ませんでした。今オタゴで注目のベンディゴを最初に見つけ開墾した人で、これから益々注目のワイナリーです。
  

初日は3つのワイナリーを回り、その日の夜はジェントリーというレストランで食事です。ワインはもちろん地元のワインを選んだのですが、そこには99年フェルトンロード・ブロック3が160ドルであったので、迷わずそれを選び満足の食事をしました。

3日目はギブストン・ヴァレーへ!
当店が自社輸入しているVALLIのワインメーカーも兼任しているグラント・テーラー氏を訪ねます。

最初に思った事、ギブストン・ヴァレーは本当に『谷』でした。ハンターヴァレーは行ったことが無いんですが、ナパヴァレーにしてもヴァレー(谷)と言っているものの、すっごく広くどこが谷なの?という印象ですが、ここは本当に谷!
雪を被った山の下に斜面がありそこに葡萄畑があります。ドイツのような雰囲気もあります。(だからリースリングが美味しいのかも?)

ギブストン・ヴァレーの赤ワイン用の醗酵タンクです。ここはなんと屋外で醸造しています。ちょっと驚きますが・・・。
収穫の時期がすでに寒いので収穫時葡萄の温度が10度位になっているので屋外でも全然問題ないそうです。
  
ご自慢の地下セラーです。そしてワインメーカーのグラント・テイラー氏と楠田さん。
 
真ん中の女性は西オーストラリアのワイナリー、カレンのワインメーカーのヴァニアさんです。彼女は2000年カンタス/ワインマガジン主催のワインメーカー・オブ・ザ・イアーに選出されています。ヴァニアさんとテーイラーさんはUCデイヴィス校を出てからの友人でよく行き来しているようです。
あっと、グラント・テイラー氏の略歴をお話していませんでしたね。
UCデービス校を卒業してカリフォルニアのパイン・リッジを含めて10年程カリフォルニアで過ごし、その後オレゴンへそしてその後デュジャックで1年間勤めたそうです。色々なワイナリーで貴重な経験をし、その集大成がValliなのでしょう。

NZ代表グラント・テーラー氏、オーストラリア代表ヴァニアさん、日本代表楠田浩之氏と私の4人でバレル・テースティングです。ここでは畑別、クローン別、樽の種類別での試飲盛り沢山です。何種類試飲したでしょう?
その後グラントさんが個人で所有している畑『VALLI』を見に行きます。
  
土壌調査をした時の穴です。
砂利、粘土が程よく混ざっています。

なんと滞在時間が5時間!
すごくエネルギッシュでこれでもかと試飲させていただき、隅々まで見せていただきました。彼の造るワインは本当に素晴らしい!それもギブストン・ヴァレーより個人で持っているVALLIの方が断然素晴らしい!改めてグラント・テーラー氏の偉大さを感じた一日でした。
今、オタゴはピノ・ノアール一色です。人によってはオタゴは涼しすぎると言われますが、決してそんなことは無いように感じました。地球温暖化もありますし、これから益々注目される場所なのではと思います。ベンディゴ地区では良いシラー種のワインも造られているそうです。

その後ちょっと遠いですが、ブラック・リッジを訪問しました。
ここは土壌がとてもユニークでスレートのような岩がごろごろしています。樹齢もとても高そうで、見た目はとても良いワインが出来そうな予感。
試飲させていただいたのですが、もう一息って感じでした。力はあるのですが、精度が足りないようでした。良い時はすごく良さそうで、そうでない時は・・・。

その次はウィリアム・ヒルを訪問しました。
かなり古くからワインを作っているそうで、畑もかなり綺麗に整備されていました。
後継者はお嬢さんのようで、海外でワインの勉強をしたいらしく、楠田さんに結構質問をしていました。逆取材といった感じです。
ワインはとても素直な印象です。

4日目は峠を越えてナカワカへ!世界一美しい葡萄畑の1つと言われるリッポンを訪問しました。峠を越えるときは雨が降っていましたが、リッポンに到着するときは晴れ間が見えてきました。(普段の行いが良い!?)

 
とても可愛いテースティングルーム。

リッポンのワインメーカーは息子さんが昨年から勤めており、DRC等著名ワイナリーで研修をしてきています。これから最も注目されるワイナリーになると思います。

リッポン訪問後、現在オタゴで最も注目されている地区ベンディゴを見に行きました。ベンディゴはオタゴでは比較的暖かく、シラーを栽培しようとしている人もいます。昔ゴールドラッシュがあったところですが、今は人が住んでいません。
広大な土地でアメリカ資本を含めてクォーツ・リーフ、ペレグリンなど多くのワイナリーが畑を所有しています。とても景色がよく畑から雪をいただいた山々が見えます。

その次はペレグリンです。
小さなワイナリーと思っていましたが、所有している畑はなんと100ヘクタールです。
その為か現在ワイナリーを新築中です。ピノ・ノアールはもちろんオタゴらしい果実が濃縮したワインで、とても素晴らしいのですが、ピノ・グリやゲヴュルツなどで造る甘いワインもとても美味しいです。ピノ・グリは日本にも輸入されておりますので、ぜひお試し下さい。
未確認情報ですが、ヴィラマリアからワインメーカーが来るようでさらに飛躍が期待されています。 

クィーンズタウンに『ワインデリ』というワインショップがありまして、店内の梁にワインメーカーのサインをする場所があるのですが、楠田さんもそこにサインを書くように依頼されて、サインしているところです。クィーンズタウンにお出掛けの際は、是非お立ち寄りになって確認してみて下さい。

景色もよければ人も良い、特に有名なワイナリーのワインメーカも実に親切にしてくれます。い今までに合計4回NZを訪問して、色々なワイナリーにお邪魔していますが、本当にワインは人なりといった印象を強くします。
これでクィーンズタウンを後にしてオークランドに!

5日目は『Air NZ ワインアワード』の試飲会に参加です。ワイナリー関係者しか参加できませんので、私はKusuda Winesの従業員ということで参加です。
 
とても全種類を試飲することは出来ませんので、まず金賞をとったピノ・ノアールからの試飲です。その後金賞のソーヴィニヨン・ブランそして金賞リースリング、ピノグリ、カベルネ、シラーといった順番に試飲をしていきました。もうヘロヘロですが・・・。さらにその後殆どのピノ・ノアールを試飲しました。

感想としては金賞の受賞を納得できるものと、なんでこれが金賞なの?と言いたくなるものがありました。どのコンテストでも言えることなのかも知れませんね。まあ、これだけ多くのワインを試飲するんですから、自分の舌もどうにかなっているんでしょうが・・・(笑)

うれしい話題を1つ、シューベルトの2001年カベルネソーヴィニヨンがカベルネ部門のトロフィーを獲得しました。金賞受賞ワインの中の一番ですから、2001年ヴィンテージのナンバーワン・カベルネという事になります。
カイ・シューベルトさんはピノでの受賞ではないので、『文句は言えないが』と冗談を言っていましたが、嬉しいことには間違いないようです!

朝から午後2時まで試飲をしてからオークランド近郊ではナンバーワンのワイナリーであるクメ・リヴァーを訪問しました。
非常に清潔感のあるワイナリーです。今まで一番清潔に感じました。
こんなに綺麗に掃除等が行き届いているのワイナリーは初めてでした。

ワインや日本酒の醸造酒は微生物管理が重要ですので、清潔は非常に重要です。応対もとても紳士的で非常に好印象!造られるワインも非常にクリーンです。特にミネラル感があるシャルドネと程よい果実味があるピノ・グリが気に入りました。やはりワインは人なりですね!
  

クメ・リヴァーを後にして、今夜はベッド&ブレックファストに一泊です。
3ベッドルーム、リビングが20畳位ありました。鳥の声しか聞こえない素敵なところです。景色も最高です。非常にリラックス出来ました。こんなこともあるんだなぁという体験でした。
  

そしてマーティンボロへ!
カイ・シューベルトさん、シカゴから来たマークスさんとヴィンフィールドワイナリーのオーナー、楠田さんたちと30種類のブラインドでのピノテースティングをしました。2002年のオタゴはやはり素晴らしい年です。マウント・ディフィカルティは素晴らしい味わいでした。これが一番印象的でした。それとマーティンボロの新星でしょうか、楠田さんも知らないワイナリーがあったのですが、これが素晴らしい!価格も非常にお安い!運が良ければ輸入できるかも?

翌日に現在品切れしている自社輸入ワイン『ストーン・カッター』にお邪魔して2002年のピノを試飲してきました。2001年よりはこじんまりしていますが、中々ピュアな果実を感じるワインでした。NZワインは現在スクリューキャップが非常に多いです。
各ワイナリーを訪問した際に『日本の消費者はスクリュー・キャップに対してどういう印象を持っているか?』とよく聞かれます。
ストーンカッターでは6ヶ月間に瓶詰めしたスクリューとコルク栓の比較試飲をさせていただきました。結果はスクリューキャップに軍配が上がりました。私と楠田さんと同意見でしたが、スクリューの方がよりピュアな果実とふくよかな印象でした。不思議ですね!で当店はスクリューキャップの輸入をすることにしました。

この時期に9日間という長い期間、旅行させてもらった家族にはとても感謝しています。また全日程を調整していただいた楠田さんにもいつもながら感謝です!

楠田さんを応援したくて、収穫の手伝いに行ったのが2002年の4月で、この時が初めての海外一人旅でした。気がつけばそれからずいぶん通って?しまいました。今回もワイン造りは人間性がそのワインに現れると強く感じ、またNZワインの可能性を確信した旅になりました。