■TAKAのボルドー便り■

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19.アルコール度数の測定

レイノンではメルロの収穫がすべて終わったところです。白品種はすべて醗酵が終了しました。今現在、カベルネの収穫待ち、といったところです。このあいだにしなくてはならない、いくつかの細々した仕事があります。その中で重要な一つをご紹介しましょう。
それは醗酵終了確認と、出来上がったワインのアルコール度数の測定なのです。
毎日果汁の比重を測定して、一応アルコール醗酵が終了したことを確認します。
そのワインをまず少量採集します。これを同じシャトー内にある小実験室に持ち込んで、まずワイン中の残糖試験をします。この試験を行っている人は元TAKA組みの一人、愛称カティの名前で呼ばれているカトリーヌという私が手掛けた最初の博士課程卒業生です。ですから私にとってかわいい事はいうまでもありません。よくがんばってくれましたから・・・。勿論研究テーマはソーヴィニオン・ブランでした。今年の夏まで、ニュージーランドのクラウディ・ベイで醸造実習をしていました。

話を戻しまして、その残糖試験は小さな試験管に水を10滴、ワインを5滴加えてご覧のような錠剤を一個そこに入れるだけです。これは本当は尿の糖分の測定に用いられている試薬で、薬局で売っています。どこのシャトーでもこれを使いますから、この時期は品切れ気味かな?
さて、この錠剤を加えるやいなや、沸騰しだして色が変わり始めます。反応が終了した直後の色を標準色と比較します。左側の濃いブルーになれば完全に糖が酵母によって食い尽くされたことを示します。右側の色でもし醗酵が終了しているとちょっとまずい事になるかな。

とにかく無事に酵母が糖を喰ってくれたとします。
次にやらなければならない事の為にはこの奇妙な装置が必要なのです。これは出来上がったワインのアルコール度数を測定する装置です。

では、カティちゃんにその様子をみせてもらいましょう。

ワインを一定量測ります。
これを先程の装置の中にいれて、アルコール・ランプをセットして、ワインを加熱し始めます。素早く冷却棺管と温度計をセットします。そしてワインが沸騰した温度を記録するのです。

そしてその日の水が沸騰した温度から、専用の計算尺を使ってそのワインの沸点からアルコール度数を求めることが出来るのです。アルコール度数が高ければそれだけ低い温度で沸騰する、ということに基づいています。

この仕事は地味ですが大変です。すべてのロットに対しておこなわなければなりません。こんな小さな、けれど大切な仕事こそ実修生の登竜門なのです。

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