■TAKAのボルドー便り■

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42.季節の便り

今年もまたソーヴィニオン・ブランでの実験風景をお届けします。見慣れた写真であるとは思いますが、季節ものですのでお楽しみ下さい。

今年が大変異常な早稲であることから、いつも手際の悪いTakaといたしましては準備に追われててんやわんやです。些細なミスから、デュブルデュー教授から頂いたフロリデンヌのブドウでの実験をパーにしてしまい、もう、ボルドーにはソーヴィニオンはないかもしれないというギリギリの時にやっとコート・ドゥ・ブライから見つけてきたソーヴィニオン・ブランです。
まだ果皮がやや厚く、少し未熟です。今年は研究の為の仕込み量がやや多いので、機械でブドウを破砕します。

まずは破砕機自体を酸素から断つ為に二酸化炭素を噴射します。
そしてブドウを一房ずつ放り込みます。
彼女はセシルという新しいTaka組のメンバーです。
これから3年間にわたって博士号取得に向けて私と行動を共にします。彼女はローヌ生まれで、両親はそこでコート・デュ・ローヌACワインを造っています。日本にも輸出しているそうです。

今年もしつこくデブルバージュの研究をする一方、清澄化酵素を圧搾の前に短期間に働かせて、出来上がるワインへの香りの影響を調べるという新しい試みも始めました。
破砕されたブドウに酵素を加えて、
一定時間、炭酸ガスで空気と遮断された状態で放置します。
そして圧搾です。
毎回の圧搾後、手でブドウをほぐして再度圧搾します。これを3回繰り返して最終的な果汁を得ます。
実験条件毎に得られた果汁です。
きれいな緑色をしています。

もうスキンコンタクトやデブルバージュの効能は理解されているように見えますが、実はまだまだ不明な点があります。ソーヴィニオン・ブラン醸造においてプレカーサーの果汁中の濃度は大変重要な意義をもちますが、諸条件下でのスキンコンタクトやデブルバージュ後、圧搾によってプレカーサーの濃度がどのような影響を受けるのかはまだ誰も知りません。

ですからたとえば果汁だけでなく、圧搾後のマールも丁寧に秤量し、
アルコールに浸けてプレカーサーを抽出し、圧搾効率を探ろうというわけです。

このようなタイプの研究は特に今年のようなヴィンテージでの醸造法に何らかの回答を与えてくれることが期待されます。今年は大変な猛暑であったため、ブドウはそれなりに熟したのですが酸が不足しています。このブドウを例年どおり、スキンコンタクトを施せば足りない酸をさらに低くしてしまうことになります。スキンコンタクトという技術にかわる、別の方法が必要なのです。

如何ですか。醸造学はいつも成長している、人間と歩む科学なのです。

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