■TAKAのボルドー便り■

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59.暮れのTakaのしていること

ご無沙汰しています。暮れのTakaは何をしているのでしょう?そんなことをちょっとご報告としてお知らせし、年末年始のご挨拶とかえさせて頂きます。

1.といっておきながらいきなり暮れの話ではありませんが、今年はソーテルヌの香りの研究で博士課程の学生がひとりTaka組に仲間入りしました。

エリーズという名前の若い女性です。しっかりものでそして典型的?なフランス人女性で、日本のオジサンを困らせています。彼女のおかげで、ソーテルヌの香りに新しくメスがはいりつつあります。いつかまたその興味ある結果をお話できることと思います。

2.先月下旬より2週間程、日本に戻っておりました。
メルシャン(株)勝沼ワイナリーがきいろ香の開発で今回京都で開催された日本ブドウ・ワイン学会より技術賞を受賞したので、その発表に同席するためでした。

そしてもう一つの楽しみは学会を抜け出して、秋の京都を満喫したことです。銀閣寺を訪問するのもはじめてですが、なにより紅葉の時期の京都も生まれてはじめてです。
その美しさは想像以上で、フランスから飛行機に乗ってでも来る価値がありました。それにしても人、人、人、で紅葉見物客はもみじの葉の数と同数かもしれません?

 

3.さて東京に戻り、まずはラ・ルネッサンス・デ・ザペラシオン主催のビオディナミ・ワインのテースティングに浜松町まででかけました。
私としてはいままでビオディナミ・ワインの多くに、クリーンさにいつも問題を感じていたので一概にビオを否定する前にその全貌を確認するにはまたとないチャンスであると思ったのです。

またニコラ・ジョリー氏のセミナーにも申し込んでいたのでした。当日はアルザス・ワインから試飲していったのですがどれもクリーンで香りの欠点もなく、溌剌としておりました。
けれども他の地域になると、例えばそれがボルドーやブルゴーニュ、ローヌではそれ程濃縮された傑出したワインには多くは出逢いませんでした。クリーンなワインとの出逢いはかなり制限されていたように思えます。

それでもニコラ・ジョリー氏のセミナーでの情熱に対しては十分に感激しました。彼の話の方向性は理解できます。しかしながら彼の言うテロワールのパワーを閉じ込めた筈の彼のクロ・ド・ラ・クレ・ド・セラン、2003年が僅か2年でシードルの香りを呈していることは私としては疑問に思う事が多々ありました。

一方で、2年程前に彼のオールド・ヴィンテージを飲んで感激したことも事実です。いみじくも彼自身がビオでありさえすればそれは良いワインであることを意味しない、と力説していた事は印象的でした。

4.
その日の午後遅くからは今度は渋谷に場所を移し、国産ワイン・コンクール受賞ワイン公開テイスティングin東京にでかけました。
この機会に一挙に国産ワインの全貌を知ろう、という大胆な思惑ででかけたのでした。

会場では沢山の方とお話させていただき、またいろいろなワインに接することができて、有意義な時を過ごさせていただきました。今回はいずれも入賞されたワイン達ではありますが、この栄誉に甘んじず、個性あるクリーンなワイン造りに今後もチャレンジして頂きたいと思いました。

5.今回は勝沼のメルシャン・ワイナリーへも足を運びました。
目的は勿論今年のきいろ香の品質の確認の為です。すべてのキューブを試飲し、その中にいくつかの傑出したロットに出逢う事ができました。一安心です。
来年の春をどうぞ楽しみに待っていてください。

勝沼での滞在では、甲府のとあるお蕎麦屋さんに連れて行っていただきました。お蕎麦屋さんといっても店に入るなりこれはただ者ではない、という雰囲気がみなぎります。
店先にはDRCの空き瓶がゴロゴロしているからです。ムムッ、これは、と思って身構えていると挨拶に出られたご主人は温厚そのものの落ち着つかれた優しい方でした。
お話を伺いながら、彼の微細な料理を満喫し、お蕎麦の後はベルエポックで〆て、大変素晴らしい一時を過ごしました。


6.さて、そのついでに勝沼醸造を訪ねました。
ここはあの甲州イセハラをはじめとして、個性的なワイン造りで有名なワイナリーの一つです。

イセハラの2005を試飲させていただいて、いつもの香りがでていることに感激します。甲州のある一つの方向性をしめしているのかもしれません。個人的にはこの香りを是非解明したいと思い、有賀社長の協力のもと研究がすすんでいます。

しかし多くのサイトで語られている事に反しますが、あの香りはソーヴィニヨン・ブランのそれとはかなりかけはなれています。ソーヴィニヨン・ブランはあのような柑橘系フルーツの感じは絶対に持ちません。またそれがヒントになってきいろ香が生産されたのでもありません。

渋谷のデパ地下のワイン屋さんを覗いてみましたが、異次元の世界でした。
ワインを選んでいるお客様達は楽しんで本当にワインを選んでいるのでしょうか?いや本当に必要としているのでしょうか?
健康志向、ビオだから、と言う理由、あるいはステータスでワインを選ぶのではなく、自分の意のままでワインを選んでいる人がどれだけいらっしゃるかがわからなくなりました。私が異常なのかもしれませんが、すくなくとも2つのデパートを訪問した時に感じた空気は私には滑稽にうつりました。

ワインがあなたに語りかけるのではありません。これだけは確かです。
しかしあなたがワインを鏡にして自分の生き様を矯正するのです。その世界にはソムリエの助言は必要ありません。自分で自分の力で自分のワインを選びましょう。それが飲んでまずいワインなら大成功です。それが自分ですよ!

フランスへ帰国する前日、六本木のアークヒルズをとおりました。

あまりのイルミネーションの美しさに何度かシャッターを切りましたが、私のバカチョンでは全部ピンボケ。
もうそろそろ5年来使っているデジカメは買い替えたほうがよさそうです。

今年を振り返りますと、自分の考えが大きくかわる出来事が2つはありました。今後それが自分にどのような影響を与えるかはわかりません。
それにTaka便りの回数が少ないことに気付きます。
もうちょっと来年はいろいろと頑張らなくては...。また2006年にお逢いしましょう。
Taka

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