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70.イケムの続きと昨年の日本

TAKA便りの更新が思うように進まず、いつも拝見して頂いている皆様方にはご迷惑をおかけしました。今後はフットワークも軽く、例えばブログ形式っぽく、写真一枚で極日常の些細な(つまらない?)事も織りまぜて更新していきたいと思います。
まずは昔話しを・・・。

~イケムの続き~
イケムでのサンプリングを昨年の9月にご紹介しました。
さて、セシルはセシルで、私の意思を引き継ぎ、大切な実験の準備をしていました。元々はソーヴィニヨン・ブランから発見されたグレープフルーツの香りをもつ3-メルカプトヘキサノール(3MH)は甲州ワイン、きいろ香にも含まれていますが、その桁違いの量がソーテルヌやバルサックの甘口ワイン中にも存在しています。それを知ったのが博士論文の準備の為にデーターを貯めていたころですから、98年の夏頃でした。しかしその当時、それが何故かはわかりませんでした。それから実に10年という月日を超えて、やっとその解明に乗り出した訳です。

貴腐葡萄というのは普通の葡萄から見ればかなり特殊な状況です。貴腐菌自体の効果、それにつづく2次的、3次的効果、変化が絡み合っているからです。まず誰もが簡単に理解できるのが、蒸発作用による糖度の上昇です。水分を失う訳ですから、この濃縮効果は当然といえます。では貴腐ワイン中の3MHの高濃度の原因は果たして、3MHのプレカーサーの貴腐葡萄果粒中の水分蒸発による単なる濃縮効果に依る上昇にすぎないのでしょうか?

この仮定の元、貴腐菌がまったく着いていないセミヨンをイケムから採取し、一方では貴腐菌が蔓延らないように処理した葡萄を醸造学部の屋根上で干します。
つまりはパスリヤージュをシミュレートするわけです。他方では、湿度、温度、光がプログラムできる箱(インキュベーターという)の中で純粋培養した貴腐菌を摂取し、ソーテルヌ地方と同じ気象条件で貴腐菌を蔓延させます。


貴腐菌は果たして独自の3MHプレカーサー上昇作用を持っているでしょうか?セシルは毎日、当時のサンプルの測定に追われています。

~昨年の日本~
日本に行く機会が増えた今日此のごろ。その機会はいろいろですが、楽しいことばかりとは限りません。それはさておき、日本にいるとやはり和食が食べたくなります。例えば、カニ・・・。フランスのお魚屋さんで買えるカニは日本のそれに比較して大味のような気がします。今度ご紹介しましょうか。
写真(左)は鳥取の松葉カニです。微細で美味しいです。ホントは毛蟹ファンでしたが、これも捨てがたい・・・。
ところが日本を離れる頃はもう和食が嫌になっています。帰りの飛行機の中ではボルドーに戻ったらアレを食べよう、コレを食べよう、で時間が過ぎていきます。お魚なら舌平目(写真右) 。ドラド・ロワイヤル(鯛の一種)やサン・ピエール(マトウダイ)と並んで高価な魚の一つです。これはムニエルにするに限ります。滋味豊かで、まったりとした味わい。ソーヴィニヨンよりはシャルドネと相性が良い感じです。

 

では、ボルドーでシャルドネを、といっても我が家のセラーには良いシャルドネはなし。
それならシャンパンは如何?でも冷蔵庫にあったベル・エポックは飲んでしまったし。
そうだ、まだ確かドン・ペリが1本あった筈・・・。しかし冷えていない・・・。
よし、それじゃ、オン・ザ・ロックといきますか!
ドームのシャンパングラスにラリックのようなフロスティーな氷が浮かんでる・・・。

 

ウソ・・・。ホントはクレーレット・ディーでした。なら、氷を入れてもいい、という訳ではありませんが。
Taka

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